ランペイジ 巨獣大乱闘 感想

関連記事



ランペイジ 巨獣大乱闘

パシフィック・リム アップライジングの影に隠れてあまり話題になっていなかった印象ですが、公開が近づくにつれて露出が増えていったランペイジ。

この手のモンスターパニック物は近年『ジュラシック・ワールド』とサメ映画以外はあまり冴えない印象なのであまり期待せずに鑑賞して来ました。

良かったところ

序盤からテンポがいい

冒頭、なんで宇宙で実験?と少し面食らいましたが、まるで映画『ライフ』を数分で終わらせるかのような怒涛の展開。

謎の実験→脱走→全滅と言う映画的様式美が超スピードで展開される。

この辺りで「細かいことは気にしないで見てね!」と念を押された気がするので、そう言うテンションで鑑賞しましょう。

後々「バレない為に宇宙で実験をしていた」と言う驚愕のバカ発言が飛び出しますが、そう言う映画です。

逆に目立つだろう、とか思ってはいけません。

俯瞰、アオリ視点の多用

人間と怪獣、どちらが被写体の場合も、見下ろす俯瞰視点と、見上げるアオリ視点が多用されています。

ドラマパートもこれらの視点切り替えにより視覚的に退屈せずに済みますし、

ヘリや飛行機を上から見下ろす視点は何となく快感を覚えてしまう。

ストーリーの整合性なんぞ最初から置いてけぼりにしているような映画ですが、

映像は統一感があって「見やすい」映画だと思います。

ゴリラのジョージとゴリラのドゥエイン・ジョンソンさんのキャラ立ち

あんなゴリゴリマッチョな科学者がいてたまるか。

とは言え特に科学者であること実感するようなセリフも出てこなかったので、

ランペイジの世界では霊長類学者の門戸は簿記三級程度には広いのかもしれません。

ジョージのCGは表情から毛並みまで本当によく出来ていましたし、人間がやったら確実にスベるブラックジョークでもゴリラがやると面白いんだな~と感心しました。

最初と最後がゴリラ同士の拳の突き合わせで終わるのも熱かったですね。



キング・コングよろしくジョージはヒロインであるナオミ・ハリスさんにメロメロになってしまうのかとも思いましたが、友情一徹の硬派なゴリラでした。

イケメン狼怪獣ラルフ

哺乳類型かつ4足型と言う、あまり成功例のないモンスターデザインをよくあそこまで魅力的に描写できるな、と関心しました。

なかなか視認出来ない森の中での戦闘はプレデターシリーズに似た緊張感がありましたし、ジャンプ一発でヘリコプターを破壊するシーンは『クローバー・フィールド』や『髑髏島の巨神』の同系統のシーンよりも爽快感があったと思います。

東宝の『大怪獣バラン』オマージュなのか空まで飛ぶサービスっぷり。

飛行能力はあまり活かすことなくリジーにやられてしまいましたが、まあワニのアゴの力じゃ仕方ないですね。

純然たる怪獣として描写されるワニ怪獣リジー

名前とは裏腹に完全に海外クリーチャーだったパシフィック・リムのKAIJUやクローバー・フィールドのHAKAISHAと違い、リジーはちゃんとした日本の『怪獣』を体現していました。

ビオランテとジーダスの顔、アンギラスの背中と尻尾を持ち合わせていて、登場シーンは怪獣映画におけるお約束のオンパレード。

船か潜水艦に誤認されないようじゃ怪獣とは言えないよね。

上陸後、的確な間とアングルから繰り出される咆哮はこの映画のハイライトでしょう。超アガる!

ちょっと鳴き声は弱々しかったけど、まあオマージュ元と思しき怪獣達もあまりたくましい鳴き声ではないので。

ビルをモリモリ登っていくのもジーダス感があって良かったですね。

とにかく強敵として描かれていて、ラスボスに相応しい貫禄でした。

いちいち気取っておいしいところをかっさらっていくジェフリー・ディーン・モーガンさん

ロバート・ダウニー・ジュニアさん似のジェフリー・ディーン・モーガンさんですが、終始謎の余裕に満ちあふれていて妙な存在感を出していました。

「カウボーイは仲間を裏切りません」「やっと私が聞ける命令が出た」「クズは協力し合おう」など劇中の名言はほとんどこのおじさんがかっさらっていったんじゃないでしょうか。

彼が悪徳姉弟の弟から回収したネズミは伏線かな?と思ったのですが、特に何もなかったですね。

ダメなところ

3体がそれぞれ音波に引き寄せられるシーンでのジョージパート

他2体はバシッと決めてくれたんですが、ジョージだけ狭苦しいヘリコプターの中でゴチャゴチャと把握しづらい状況が続いて、少しテンポが悪く感じられました。

あのシーンの後しばらく人間同士の会話パートが続いたのも構成としてはよろしくなかったかな。

マリン・アッカーマンの最後

モンスターに食べられると言うのは洋画にありがちな悪役の断末魔ですが、今まで人を食べる素振りのなかったジョージがためらいなく口に運ぶあたりに少し違和感がありました。

本来なら「ザマァ!!」と言う高揚感を味わうシーンだったのでしょうが、そこがちょっと気になってノレず。

ストーリー的に一番手っ取り早くジョージを落ち着かせる展開でもあるので、一石二鳥と言えばそうなのですが。

総評

★★★★

久しぶりに頭空っぽで観られるA級のB級映画ですね。

ストーリーの粗はダメなところには入れませんでした。

怪獣を美しく、カッコよく、魅力的に描くことに特化した作品と言えるでしょう。

B級映画・怪獣映画好き以外が観て面白いのかは知りません。

関連記事

SNSでシェアする