関連記事
シン・ウルトラマンでウルトラマン熱が再燃したので4Kウルトラマン鑑賞
ブログの趣旨に全く関係のない記事を書くほどストライクだったシン・ウルトラマン。
そのヒットを記念してシン・ウルトラマン脚本・総監修の庵野秀明氏がセレクションしたウルトラマンのエピソード4話が4K上映されていたので観てきました。
(4Kとは言え画面比率は4:3のままでアップコンバートはされていない)
ザラブ星人の『遊星から来た兄弟』だけはシン・ウルトラマンと密接な繋がりあるのですが、残りのエピソードを考えると4作品全てが庵野秀明氏の趣味としか言いようがなく、この人強いな…と思いました。
ただ、『遊星から来た兄弟』の選出理由に
M5曲が初めて劇中にかかり、初めてウルトラマンがヒーローとして自覚的に描かれたエピソードだと感じています。
とあり、シン・ウルトラマンのザラブ戦もそう言う意味合いで脚本を書いたのかと思うと感慨深いものがあります。
なお、どの作品も子供の頃に1度は観たことがあるハズですが、内容はほぼ失念。
新鮮な気持ちで鑑賞できましたね。
遊星から来た兄弟
- 使用BGMと使われるシチュエーションがシン・ウルトラマンとほぼ同じ
- 電話口でのムラマツキャップのオウム返しのやり取り
- ベーターカプセルがなく変身できないウルトラマン
- チョップで痛がるウルトラマン
シン・ウルトラマンがいかにこのエピソードをオマージュしているかよく分かる作品。
- 口元がむき出しでも放射性物質をシャットアウトする科特隊ヘルメットの超性能
- ザラブ星人が化けたフジ隊員の差し入れコーヒーを一気飲みするコーヒーが好きすぎるアラシ隊員
- ザラブ星人に操られるイデ隊員のコミカルな演技
- 宇宙船内を窓から覗くハヤタ隊員とどう考えても目が合っているのに気づかないザラブ星人
- 偽ウルトラマンに捕まえられたホシノくん(この回では隊員)の普通に死にそうな雑すぎる救出
と、昭和特撮の牧歌的なツッコミどころ満載のコミカルな描画もあるものの、本物ヒーローVS偽物ヒーローと言う普遍的な『燃える』展開はやはり盛り上がる。
初代マンの夜の戦闘と言えばこのザラブ星人かバルタン星人のイメージが強いですね。
怪獣殿下(前編)
庵野秀明氏の思い切りの良いチョイスにより前編のみ。
なぜか「怪獣なんかいる訳がない」と揶揄される世界観になっているのですが、
『メカゴジラの逆襲』でゴジラが存在する世界で恐竜(恐龍)生存説を唱えて狂人扱いされた真船博士を思い出しました。
ジョンスン島で目を覚ますゴモラのシーンは迫力があり、その後の眠そうなゴモラも可愛くてとてもいいのですが、ゴモラの鳴き声があのトラウマ怪獣ガイラのアレンジなのでちょっと怖い。
- ガイラ
さらに多々良島といいジョンスン島といい、この世界の無人島は人を襲う怪奇植物スフランがナチュラルに生えているのである意味怪獣よりもタチが悪い。
迫りくるゴモラを前に微笑みをたたえた余裕の表情でアラシ隊員が麻酔銃を2発撃ち込むとさすがのゴモラも眠りにつくのですが、
体重2万トンのゴモラをたった3機で空輸するジェットビートルの恐るべき推進力と耐久力に驚愕。
輸送の途中で暴れ出したために地面に落とされたゴモラに対する集中砲火シーンや、
地中から出現したゴモラがトラックなどを蹴散らしながら少年に迫りくるシーンは迫力があり、特撮シーンは非常に見応えがありました。
(人間の持つ兵器から縮尺のおかしいクソデカ銃弾が発射されているのはご愛嬌)
ドラマパートは牧歌的、特撮は精巧と言うのは基本的に初代ウルトラマンシリーズ共通ですね。
人間標本5・6
人間標本5・6と言うのは人間の生態調査のために既に4人の人間を標本にした派遣員のダダがノルマ達成のために埋めなければいけない人間標本の残り枠。
これをタイトルにすると非常に不穏な印象になりセンスを感じさせます。
奥多摩の日向峠(奥多摩には存在しない架空の峠)で多発するバスの滑落事故の調査に向かった科特隊…の下りで「そもそもバスの運行を止めろよ…」と思ったあたりまではいつものウルトラマンだったのですが、
黒ずくめの不気味な女性(味方でしたが)、バスの転落、キャップに話しかけるロボットのような警官と『吸血鬼ゴケミドロ』のような不気味なシーンが続く。
いよいよもって登場したダダはデザインが完全にホラーで、造形や塗装がやや雑なのも逆に人形っぽさを感じさせて怖い。
母星の命令には逆らえないサラリーマンのような一面もあったり、肉弾戦でムラマツキャップに圧倒されたりとコミカルな面もあるのが近年のキャラクター化に繋がっているのでしょうが、
この外見で「ダ・ダ…」と低い声で呻きながら忍び寄ってくるのは恐怖でしかありません。
等身大になったウルトラマンに対して逆に巨大化するシーンも短時間ながらインパクト絶大。
庵野秀明氏的には長尺で活躍するウルトラマンを観てほしかったようですが、とにかくダダが強く記憶に残りました。
空の贈り物
4作品中唯一の実相寺昭雄監督作品。
後の平成ガメラに通じる『『何か』を手前に置いた奥行きのある特撮シーン』は非常に見応えがあり、愛嬌のあるスカイドンのデザインも相まって円谷特撮らしさが全面に出ています。
一方でドラマパートはかなりギャグ&ブラックユーモアに振り切っており
- 飛び降り自殺を「とんでもない空の贈り物」としてイデ隊員に南無阿弥陀仏と言わせる、近年なら炎上間違いなしの演出
- 傘を忘れたムラマツキャップが赤坂までジェットビートルでこうもり傘を届けさせる(職権乱用)
- こうもり傘を運んだハヤタはあろうことか上空からキャップ目掛けて傘を落とす(通行人に当たる危険性があるのはもちろん、キャップも傘を受け止められなければ普通に死ぬ)
- 寝起きに隊員服を裏返しに着るムラマツキャップ
- 体重がゴモラの10倍の20万トンあるスカイドンをやはり3機で牽引するジェットビートル(失敗するものの短時間とは言え持ち上げたことに変わりなし)
- 有名なスプーンをかざすハヤタ隊員
と、呑気な昭和特撮の世界観を満喫できます。
何も悪いことをしていないスカイドンが粉砕されてしまうのはちょっと可哀想でしたね。