ゴジラ-1.0/ゴジラマイナスワン 感想

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ゴジラマイナスワンのネタバレなし感想

ゴジラ生誕70周年記念(1年フライング)作品のゴジラマイナスワンを早速公開日に観てきました。

個人の感想ですが、

  • ゴジラの造形・CGはかなり良い
  • ゴジラの登場シーンが少ない
  • ドラマパートはあまりにも陳腐

って感じで何とも評価しづらいと言うか、少なくとも期待値は超えてこなかったなって感じ。

山崎貴監督が直接関与している白組と言うことでCGのデキはハリウッドゴジラにも負けていなかったと思います。

と言うかハリウッドゴジラもハリウッド映画としてはわりとおもちゃっぽいCGだったので全面的な肯定の意味で使っているワケではありませんが、

ことCGに関しては『山崎貴監督のコントロール下ではない』白組が担当したシン・ゴジラやシン・ウルトラマンより明確に優れていると言えるかと。

とは言えシン・ウルトラマンはCGが微妙なことを差し引いても大好きな作品で2桁回リピートしたのですが、

ゴジラマイナスワンはうーん…、もう1回くらいは観てもいいかな、くらいですかね。

いかんせんこんなにゴジラの出番が少ないとは思わなかった。

シン・ウルトラマンの個人的な名言・名セリフ

とにかくドラマパートのセリフ選びがものすごく安っぽいし、ほとんど口だけで説明される「戦争の悲惨さ」にもぜんぜん感情移入できず。

今や邦画に引っ張りだこの超演技派女優、安藤サクラさんの存在感だけが救いでしたが、彼女がいなかったら一体どうなっていたのか。

以下はネタバレあり感想を記述するので注意してください。

ネタバレあり感想

良かったところ

過去作品ゴジラのオマージュ

自分が気づいた限りでは以下の作品。

  • 初代ゴジラ
  • ゴジラVSキングギドラ
  • ゴジラ モスラ キングギドラ大怪獣総攻撃(GMK)
  • キングコング対ゴジラ

初代ゴジラは言うまでもなく大戸島の伝承。

あとはゴジラに襲われるアナウンサーのセリフですね。

ゴジラ大好き笠井アナ、出演おめでとうございます!

ゴジラVSキングギドラからはゴジラは「元々は恐竜だった」と言う設定。

GMKゴジラは終盤の白目ゴジラとラストのあのシーン、あとは熱戦のキノコ雲。

キングコング対ゴジラは東洋バルーンと言う社名をそのまま使用。

風船の使われ方はかなり異なるものになっていました。

あとは最初の上陸が品川と言うのはゴジラ(1954)、シン・ゴジラのオマージュ、海神作戦はヤシオリ作戦からのオマージュでしょうか。

鳴き声でゴジラをおびき寄せるのは84年のゴジラから着想?

シリーズファンへの目配せと言えばそれまでですが、まぁオマケ要素としては大歓迎です。

ゴジラが熱戦を吐く時の背びれの変形

アレは一応2014年のGODZILLA(ギャレゴジ)のオマージュになるんでしょうか。

尻尾から頭部へと熱戦のエネルギーが伝っていく描写に加えて、今作では背びれがせり出して変形します。

単純に演出としてカッコいいだけでなく、終盤の海神作戦の手順にも上手く取り入れられているのが良かったですね。

CG

さすが山崎貴監督だけあり、ゴジラ本体のCGも兵器・町並みも日本映画としては最高峰のクオリティ、と言うよりも十分に世界のモンスター映画と渡り合えるレベルだと感じました。

冒頭の飛行シーンや船が陸上に投げ出されるシーンなどは恐らくミニチュアを意識したカメラアングルや挙動になっているのだと思いますが、特撮ファンとしてニヤリとしましたね。

海神作戦

怪獣映画としてギリギリのリアリティラインを突いた絶妙なロジックになっていたんじゃないでしょうか。

作戦の説明で水槽が出てきた時はすわまたしてもオキシジェン・デストロイヤーか、とちょっと身構えてしまいましたが杞憂でした。

ダメなところ

一言で言えばドラマパートは壊滅的と言うことに尽きると思います。。

まぁ過去のゴジラ作品で「ドラマパートもいいぞ!」と言う作品がどれくらいあったかは諸説あるところでしょうが、

いくらなんでも令和の作品でこれはないんじゃないかなぁと。

ドラマパート

アニメとかマンガみたいな現実味のないセリフ、オーバーな演技が多用されていてさすがにゲンナリ。

シン・ウルトラマンは冒頭でリアリティラインをバシッと引いてくれるので気にならなかったのですが、

舞台設定が戦後で実在の兵器が出てくる作品としてはこのセリフ回しはなしかと。

特に神木隆之介くんのセリフはいくらなんでも擁護できないリアリティ皆無のセリフばかり。

演技が上手いだけにちょっと気の毒にすら思ってしまいました。

「君の名前は!」と言うセリフにはちょっとニヤリとしましたが。

神木くんはアニメ『君の名は。』で滝くんの声優+初代ゴジラと同じ年にアニメとは別の『君の名は』が公開されている

あとは戦時中・戦後直後なのにみんな肌艶が良くて健康的な体型なのと、フィルムの質感からぜんぜん『戦後感』がない。

これはもう『ラーゲリより愛を込めて』を始め、戦争を取り扱う邦画のほとんどが抱える問題点ですが。

『ナイトクローラー』のジェイク・ギレンホール氏みたいに体から役作りをする役者はいないのか…。

終盤で出てくる「太平洋戦争で兵站が問題だった」と言うのは結構指摘されていることではありますが、

予備知識のない人が映画中でポッと一言だけ説明されてもぜんぜんしっくり来ないのでは?

総じて終戦直前~戦後間もなくの日本と言う舞台設定があまり活きていない、と思いました。

主人公・敷島にヘイトが溜まるプロット

敷島が機銃の引き金を撃てなかったことから生存したゴジラが巨大化し、部隊は全滅、その後ゴジラによって高雄が破壊され東京銀座も壊滅状態に。

仕方がない面もあるとは言え、ゴジラ誕生のほとんど直接の原因が主人公にある作品と言うのは過去に例がなく、あまりにも敷島にヘイトが溜まりやすい設定です。

ついでに言うと、まあ自責の念から来る自己肯定感の低さが原因なんでしょうけど典子に対する態度があまりにもヘタレ。

このせいで意を決して震電に乗り込むシーンもあまり感情移入できず。

  • 「敷島は機銃を撃ちはしたが、手の震えで狙いが逸れて逆にゴジラを威嚇」
  • 「零戦の中にいたおかげで逆上したゴジラの攻撃では一命をとりとめたが部隊は全滅」
  • 「橘は敷島を責める気持ちと自責の気持ちが半々」

くらいだったらまだ良かったのですが…。

ゴジラの登場シーンが短い

「このあとゴジラが出るぞ」と言う期待がなければかなりキツいドラマパートを頑張って耐えてもあの登場時間。

ゴジラの登場時間はそれこそギャレゴジといい勝負だったのでは…。

オチが読めるし想像を超えてこない

  • 敷島の乗る戦闘機に脱出機能が付いていること
  • ゴジラが死なないこと

まぁどちらも普通に予測できるのはいいとして、

パラシュートがフワフワ浮いてるのを下から見上げたり、GMKまんまの映像をちょっとアプデした程度のCGだったり、一応サプライズ展開なのに映像としてのカタルシスがあんまりない。

最後のシーンで典子の首筋に何か模様が浮かび上がっていた気がしましたが、次回作への伏線でしょうか?

ゴジラの熱戦を至近距離で浴びた人間は被爆しているとか、ゴジラ人間()になるとかかな?

まとめ

個人的には残念ながら絶賛どころか、2023年の大豊作な邦画たちにおいては年間BEST10にも入らない、と言う評価になりました。

決して駄作とまではいかないのですが、心はすでにゴジラVSコング2に向かっています。

シン・ゴジラの興行収入超えは不可能だろうと思いますが、せめてシン・ウルトラマンの興収は軽々超えてもらわないと日本のゴジラシリーズの今後が不安になる…。

個人的にはシン・ゴジラも正直微妙でしたが、興行的に大ヒットして怪獣ブームを牽引したのは事実

エアプ邦画叩き勢さぁ…

普段「邦画はすぐ叫ぶのと説明セリフがダメ!」とか言ってる層がこの映画のドラマパートは「いや、この状況に追い込まれたら叫びたくもなる」とか擁護しているのを見ると、

やっぱり『邦画ガー』の人たちは近年のハイレベルな邦画を全く見てないエアプなんだな、と言う認識が強くなりますね。

単館系の映画を見ろとまではいいませんが、2023年にシネコンで上映していた

  • そして僕は途方に暮れる
  • 世界の終わりから
  • 高野豆腐店の春
  • こんにちは、母さん
  • ほつれる

あたりだけでも十分に近年の邦画の質の高さは体感できるのに。

まぁ金も余暇もなくてもタダでできるお手軽な娯楽がエアプ特定ジャンル叩きなので、この手の書き込みがなくなることはないでしょう。

自分の興味のないジャンルを貶めても自分の価値は上がらないのにご苦労なことです。

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