GODZILLA/ゴジラ(2014) 感想

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ゴジラ2014

ファイナルウォーズ以来10年ぶりのゴジラ映画となる作品。

通称は監督名からギャレゴジ、もしくはスタジオ名からレジェゴジ。

エメリッヒ版ゴジラが結構好きな管理人としては、この作品こそ日本のゴジラの魂を受け継いだ作品として扱われることに少々疑問を覚えます。

作品としては悪いところも目立つものの及第点と言ったところでしょうか。

キングオブモンスターズなどに比べるとかなりデキが良いので、年月を重ねて評価が上がりつつある

良かったところ

MUTO

核とは何の関係もない今作のガッズィーラと違い、MUTOこそ核の象徴であり、主人公サイドにとっても浅からぬ因縁がある相手。

エピソードの強さのみならず、生態系についてもある程度『リアル』っぽい御託が並べられていて存在感があります。

秀逸なのはデザインで、ディテールを細かくしすぎずにシルエットを重視したデザインは東宝怪獣・円谷プロの系譜であり、まさしく『怪獣』と言えます。

機会的な電磁パルス音も人類との共存を断固として拒むようで素敵ですね。

仮にこの映画がMUTO単体の映画で核への警鐘を鳴らす作品だったらかなり高評価していたと思います。

モノレールの向こうから迫ってくるシーンとか怪獣映画の美点が詰め込まれていて最高ですね。

ダメなところ

ゴジラ必要?

前述の通り、今回のゴジラは核とは何の関係もありません。

核実験により生まれたのではなく、ゴジラを倒すために核実験を行っていたと言う初代ゴジラの精神性の真逆を行く改変。

核攻撃のくだりは核の軽視としてかなり否定的に見ている人が多いようですが、まあゴジラがそれ程の脅威であることを知らしめる演出としてはナシではないとします。

それにしても主人公サイドの話に全く関係ないところからポッと出てきたゲスト感が強すぎる。

十分にMUTO単体で成立できる映画と言うことを否定できる要素がなにもない。



驚異的に役立たずな軍隊が何とかして核攻撃でMUTOを倒す話で何の問題もなかったハズです。

上陸後の咆哮は良かったけど、前後の流れを考えると素直にノレないと言う。

『世界が終わる、ゴジラが目覚める。』と言うキャッチフレーズの欺瞞性もひどい。

『ゴジラが目覚めないと世界が終わる。』の間違いだろ。

ガバガバな日本描写

ウルヴァリン・サムライみたいなトンデモ日本描写をよりによってゴジラでやってしまうのはどうなんでしょう。

ジャンジラと言うおよそ日本の言語感覚からかけ離れた街はやはり町並みも日本離れしていて、『外人がイメージする日本』を描いたハリボテの背景に西欧の家屋を建てたようなダメファンタジー感が漂います。

原発の立地も市街地に近すぎるし、これみよがしに黒煙を吹き出すパフォーマンスが視覚的にうるさい。

人間ドラマが途中から希薄に

序盤はずっと主人公の父親の因縁の過去が語られるのに、途中から大した因縁のない息子がなぜか必要以上に命がけでがんばる話になってしまっています。

がんばった結果として何の役にも立っていないので、本当に彼の存在意義は分かりません。

パラシュート降下部隊の絵面だけはカッコよかったけど、結局何もしてないし。

うやうやしくも芹沢博士の名前を冠した渡辺謙も何をしたか覚えていない程度の存在。

どうにもゴジラと言うスーパースターと映像技術におんぶに抱っこ、物語の骨格をちゃんと作り込もうと言う気概が感じられません。

総評

MUTO単体の映画で主人公の父親中心の話だったら傑作だったかもしれないのですが…。

主役、それもゴジラと言う世界的なアイコンに物語上登場する必要性が感じられないと言うのはかなり致命的ですね。

ただ、モンスターバースシリーズがそれなりに年月を重ねてから振り返ると、

CGのクオリティと怪獣の見せ方については今もギャレゴジだ一番だったんじゃないか、と思いました。

相対的に評価が上がっていく作品。

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