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皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ
原題『Lo chiamavano Jeeg Robot』。
鋼鉄ジーグの知識は全くないのですが、どう言う風に日本アニメにオマージュを捧げてくるのかが気になって鑑賞しました。
良かったところ
悪役ジンガロ
個人的には2017年(本国公開は2016年ですが)の映画に登場するヴィランの中でも際立った印象を残してくれました。
狡猾で残忍、どこか小物感を滲ませつつもスタイリッシュで飄々としていると言う、わりとステレオタイプのキャラクターではありますが、
演じるルカ・マリネリ氏(ジェイク・ギレンホール氏似)の個性的な俳優の怪演によって非常に魅力的なキャラクターに仕上がっています。
超人化後、iPhoneで撮影しながら裏切り者を始末するシーンなどは不謹慎ながら観ていて楽しい。
彼がサッカー場を爆破させる下りはもう少し長尺で観ていたかったですね。
ヒロインの死→覚醒と言う超王道展開
チンピラだった主人公がヒロインの言葉の意味を真に理解し、人々を救うことに自分の存在意義を見出す下り。
陳腐な展開と言えばそうですが、効果的に使われるスローモーション演出と役者の演技により、感動的な映像になっています。
人命救助パートはヒーロー物において最もアガるシーンの一つですが、文句なしの出来だったかと。
アベンジャーズやX-MEN: アポカリプスのクイックシルバーのスタイリッシュ人命救助は映像として見事ですが、展開の妙でこの映画の方が琴線に触れました。
ダメなところ
序盤は主人公、ヒロインの両方に感情移入が難しい
後半を盛り上げるために狙ってやっているとは思うのですが、ただのスケベなオジサンであるエンツォ(ヒロ)とメンヘラオタクであるアレッシアの両者とも序盤はあまり魅力がありません。
アレッシアがとりわけ鋼鉄ジーグに入れ込む理由も不明なので、少し地に足がつかない感じは否めませんね。
サッカー場での緊張感のない一般市民たち
なんだかスタント撮影に群がる野次馬のようで(合っていますが)、爆破テロの標的となっているのを自覚しているように見えません。
エキストラの演技指導ちゃんとして下さい。
総評
ハードなゴア描写や性描写があり、展開や画面も暗め。
全体としてはノワール物と言っていい作劇なのに清々しいほどの王道ヒーロー物に仕上がっていると言う新鮮な作品です。
複数のヒーローが仲間割れと和解を繰り返す某ベンジャーズの群像劇に胸焼けを起こしている人にはこちらの作品の方がハマりそう。