レディ・プレイヤー1 感想

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レディ・プレイヤー1

みんな大好きスピルバーグ監督の最新作。
80年代パロディー満載らしいですが、個人的にはパロディーや小ネタの多さが作品の評価に結びつくことはないんですよね。
映画が面白いことがまず大前提で、細部を掘り下げていくことはありますけど。

良かったところ

序盤の見せ方は秀逸

世界観説明に多くを割かずに、『VRゲームが流行している近未来の退廃した町並み』を視覚で隅々まで見せる。
この辺りはさすがスピルバーグ監督だなぁと言う感じで、掴みはバッチリでしたね。
車を積み上げただけの町並みはチープでありながら魅力的。

VRのゲーム内空間と言う設定に対してCGのさじ加減がうまい

オアシス内のアバター(人物)に関してはリアルすぎず、ゲーム内であることが見た目で理解できる作り。
かと言ってチープな絵面には見えない絶妙なラインを突いていると思います。

レースシーンとその攻略方法

序盤の白眉であるレースシーンは迫力がありました。

攻略方法はまさに逆転の発想。

いにしえのレースゲームで隠しショートカットを見つけた時のような楽しい映像表現だったと思います。

某シャイニングのシーン

映画『シャイニング』は特に好きでもないのですが、当時のフィルムのザラついた質感を再現しつつ、3Dのアバター達が館内を歩き回る映像は新鮮でした。
スピルバーグ監督的にも恐らく一番力を入れたところなのではないでしょうか。

俺はガンダムで行く!

このセリフは素直にアガりました。
ただ、ガンダムの効果音は「ブッピガン」を始めとしたおなじみのSEが使われていないし、挙動もなんか知っているガンダムと違う。
モデリングは良いデキでしたが、仏作って魂入れず感。

アイアン・ジャイアントの親指



ネタとして何回擦られたか分からないけど、あえて分かりやすいパロディーを入れる心意気やよし。

ダメなところ

主人公達以外のプレイヤー達バカすぎ

製作者の生涯が資料として存在する以上、そこにヒントがあると考えるのが自然なのに、資料館はガラガラ。
そして脳死ノープランでひたすらレースに挑むモブ達。
クラッシュすると全てを失う設定でこんな行き当たりばったりな行動をしますかね?
なのになぜか終盤では主人公の一声であっさり集まってきて突然一枚岩になるのが全く説得力がありませんでした。

敵組織のセキュリティーがガバガバすぎ

パスワードはもうギャグとして受け入れるにしても、外部の人間が簡単に出たり入ったりできる施設って何?
バットマンVSスーパーマンのレックス・ルーサーの会社並のセキュリティ。
後年の作品で言うとゴジラKOM
スパイ映画並の頭脳戦を見せろとはいいませんが、今よりテクノロジーが発達した社会でこんなにセキュリティ意識の低い会社が繁栄できる訳がないと思います。

メカゴジラ

何の前触れもなく変身、ヒロインからは「メカゴジラ!」と当然のように認識されているあたりの緩い作りは好きなのですが、メカゴジラの攻撃方法が物理攻撃ばかり。
フォルム的には1974年の初代メカゴジラが元になっているのでしょうが、明らかに原作を観ていないであろう動きでしたね。
と言うかこの作品のジャパンカルチャーオマージュはほとんど形骸的なものでしかないと感じてしまいます。

おばさんの扱い

肉親の死が軽すぎませんか?

ロクデナシの彼氏は主人公がVR世界に夢中になる動機づけとしての『嫌な現実』の側面があったんでしょうけど、おばさんの死は何の原動力にもなっていない。

軽すぎるヒロインのコンプレックス

ちょっとアザがあるだけで見た目は完全な美人だし、ダンスシーンの思わせぶりなやりとりが全く生きていないですよね。

全体的に『コンプレックスや現実への鬱屈した思いを抱えている若者達が現実に回帰していく』話にしたかったんだと思いますが、こちらが積極的に読み取ってやらないといけないような展開です。

現実至上主義

まあ当然と言えば当然の帰結と言えなくもないんですが。

映画を通じて色々な人に夢を与えてきたスピルバーグが、娯楽大作映画の締めでそう言うこと言っちゃいます?

総評

面白いシーンもありますが、キャラクターが記号的で人間ドラマとしてはかなり物足りなさがあります。

最初から脳筋B級アクション映画として観ることが出来れば感想は変わってきたかも知れませんが、

ここまでリアリティラインが低いとは思わないって。

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