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クワイエット・プレイス
ドント・ブリーズと語感も内容もよく似ている映画です。
事前情報全くなしで「音を立てたら、即死。」と言う安っぽいキャッチフレーズすら知る前に鑑賞したのですが、
このフレーズを知っていたらおそらく観なかったと思います。
良かったところ
序盤の静寂感と世界観説明
『何か』が最初に出てくるまでこの映画はほとんど無音に近い静寂の中で話が進んでいきます。
「どうやら音を出してはいけないらしい」と言うことを説明セリフを用いずに見せていく流れはかなり良かった。
序盤は特にですが、全体的に間のとり方は非常に適切で、ダレることなく鑑賞することができました。
劇場体験
ことさら観客が静かに息を呑んで映画を観る、と言う体験を味わうためだけでも映画館で鑑賞する価値はあると言えるのではないでしょうか。
ダメなところ
人間バカすぎ
なんで日常生活の範囲内にどう考えても大きな音が鳴る原因になるものを放置しているのでしょうか。
怪物の恐怖よりも「人間が余計なことをしないか」にハラハラさせられることの方が圧倒的に多いです。
イヤホンで音楽を聴いているシーンなんてイヤホンが外れたらどうするつもりだったのでしょうか。
劇中の経過日数から考えて『何か』の襲来後に子作りをしたことになりますが、声も出さずに一体どうやって?
臨月が近づいているのに大した備えもせずに普通に日常生活を送っているのも謎すぎます。
とにかく家族の行動が行き当たりばったりで感情移入できません。
中盤、産気づいた妻に畳み掛けるようにピンチが襲いかかってくるシーンも完全に自業自得なんですよね。
怪物の設定の曖昧さ
怪物の可聴範囲がよく分かりません。
自然音には反応せず、生物の発する音に反応するのはまあ分かるのですが、脚本上の都合によって耳が良くなったり悪くなったりしていますよね。
距離の離れた場所の物音には反応するのに、近くの生物の呼吸音や心音などに無反応なのは謎すぎます。
大きな効果音に頼ったジャンプスケア演出
「怪物かと思わせて人間でした」と言うよくある演出をことさら大きな効果音で何回も繰り返すB級ホラー演出にゲンナリしました。
安っぽい人間ドラマ
家族愛や男の子の成長の描き方などが段階を踏まずに「ある日突然家族愛に目覚めた」ように感じられてしまいます。
必要とあらば子どもたちを危険に晒すのもいとわない父親なのに、最後の盛り上がりのために唐突に「お前を愛していた」と言われても。
総評
内容は正直ちょっとよくできたB級映画止まりですが、映画体験と言う意味では『カメラを止めるな!』と同じように劇場で観る価値がある映画と言えます。
自宅のモニターで観てもあまり面白くなさそう。
IMDBよりもロッテン・トマトで評価されているのも納得。