OVER DRIVE オーバードライブ 感想

関連記事

OVER DRIVE オーバードライブ

東出昌大さん、新田真剣佑さん、北村匠海とくん言うイケメン俳優が集まった映画ですが、

単なる話題性だけではない本格的なエンターテイメント映画でした。

良かったところ

兄弟のドラマに焦点を絞りきった作劇

森川葵さんはヒロイン枠かと思いきや、多少の似合わせはあるものの彼女はあくまで脇役。

兄弟の確執、そして絆を取り戻すまでの過程に的を絞った構成になっているのが非常に好印象でした。

過去の象徴として繰り返し回想シーンに登場する海辺での兄弟の邂逅は最高の名シーンだと思います。

割れたミラーは新田真剣佑さんが『壊したものの象徴』であると同時に、

ミラーに新田真剣佑さんが二重に映り込む演出で『壊れてしまった彼自信』をも示唆していることを思わせる演出。

手持ちカメラも感情の揺れを切り取っているようで効果的に使われていましたね。

海辺のシーンを経ての

「守りたいんだろ?約束」

「すぐに直してやるから」

「兄貴が直したら俺は乗るんだよ」

からの外人式グータッチは王道展開ながらも文句なしのアガる展開でした。

新田真剣佑さんが途中から酒とタバコを全く嗜まなくなるのもことさらセリフやカットで強調したりはしないんですけどいいですね。

インタビューの後のタバコの煙がメンテナンスの蒸気に切り替わるシーン以降は吸ってないのかな。

荒唐無稽なレースシーン

割と一定の間隔でレースシーンが挟まれるのを単調と見るか、メリハリがあると捉えるかは好みが別れるところだと思いますが、管理人はレースシーンそのもののビジュアル的な面白さを単純に楽しめました。

お台場、群馬の山奥、富山の五箇山(世界遺産!)などなど、現実には絶対にありえないコースを車が猛スピードで駆け抜けていく映像、まさか日本の風景をバックにレースシーンが観られる日が来ようとは。

と言うか観客近すぎだろ。

ところどころCG臭さもありますが、力づくで楽しい映像に仕立て上げているのは中国映画のようなパワーを感じさせ、ある意味で『邦画らしくない』エンターテイメントに振り切った演出で楽しく鑑賞出来ました。

レースシーンの合間に挟まれるレース場所の背景も映像の切り取り方が面白かったですね。

終盤のセピアがかった工場地帯は退廃した近未来SFのような趣で、邦画ではなかなか見られない絵で新鮮でした。

光・効果音を使った情感豊かな演出

東出昌大さんと森川葵さんが薄暗い部屋から工房へ移動して電気を付けるシーンや新田真剣佑さんがプールに身を投げるシーン、新田真剣佑さんがバイクを修理しているところに森川葵さんが訪れるシーンなど、光の使い方が非常に巧み。

どう言う心情や意味合いを強調したいのかを画面作りだけで伝えてくれるので、セリフはもっと削れたのでは?と思ってしまうほど。

前述の東出昌大さんが工房で電気を付けるシーン一つとっても効果音のタイミングが非常に耳馴染みがよく、ちゃんと計算されているなぁと思いました。

無音になるシーンの間のとり方も絶妙で、この辺りも含めて劇場で観られてよかったです。

サブキャラも魅力的

サブキャラにあるまじきイケメン、町田啓太くんの地味な成長劇。

吉田鋼太郎さんのベタな『実は人情味溢れる親分肌』キャラ。

その他クルー達も本筋に絡まないながらも魅力的に描かれていたと思います。

『情熱の伝播』も隠れたテーマだったと思います。

要潤さんはただの嫌な役でちょっと可哀想でしたが、近年わりとそう言う役が多い?

彼は今だに『動物のお医者さん』の二階堂のイメージが強い…。

新田真剣佑さんの目の演技

レースシーンは必然的に目しか映らないのですが、そんな中で苛立ちや焦燥、不退転の決意など様々な表情を目だけでよく演じていたと思います。

あんなに整った顔立ちな上にマッチョで演技も上手いとか完璧超人すぎますね。

ちはやふるの新とは全く違うタイプの役ですが、見事にモノにしていたと思います。

ダメなところ

個人的には特になし

観る人によってはあまり意味のないサブキャラが多かったり、東出昌大さんの声質だったりが気になったりするかも知れません。

東出昌大さんは声質に抑揚がないだけで演技自体は桐島や寄生獣の頃よりもかなり上手くなっていると思いますが、まだ棒読みに感じる人もいるみたいですね。

ダメと言うか、「あればなお良かったシーン」としては、最後の湖から引き上げたスピカのマシンを直すシーン。

新人の町田啓太くんが「ここの部分の音、なんかおかしくないですか?」みたいに不調箇所を見つけていれば、サブキャラの成長も内包できていて更に完璧だったと思います。

総評

ダレるシーンは全くなく、人間ドラマもタイトにまとまっていて、何よりエンターテイメントとして決め絵を外さない画面構成と演出が冴え渡っている。

割と非の打ち所がない傑作だと思います。

東出昌大さん、新田真剣佑さん両名にとっての新たな代表作となることは間違いないでしょう。

関連記事

SNSでシェアする