映画『トラペジウム』感想 刺さる人には大傑作

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トラペジウム ネタバレなし感想

https://trapezium-movie.com/

映画トラペジウムがあまりにも刺さったので記事にしました。

元アイドルの方が原作と言うこと以上の予備知識なし、何の期待もせずに観に行ったのですが、

完全に打ちのめされて現時点での2024年の個人映画ランキングで1位です。

映画自体は好き好みが分かれる作りと言うかキャラ造形で、

プロット自体もアイドルアニメとしては相当変化球なので鑑賞予定のある人はあまり予備知識を仕入れずに観に行った方が楽しめるとは思います。

テンポの良さ、アイドルアニメならではの高揚感

上映時間94分とコンパクトな尺ですが、このくらいの上映時間の映画でも間延びしている映画が結構ある中でかなりテンポよくまとまっていると思います。

お使いに感じられるパートやちょっと(かなり)重苦しくなるような場面でも的確な画面切り替えと編集によってダレない。

東西南北がアイドルとしての頭角を現していく過程はこの手のアイドルアニメ特有のワクワク感・高揚感がちゃんとある一方で、

人間のエゴ、底意はわりと容赦なく描いてきて観客にダメージを与えてくると言う、かなりの2面性を持った映画でもあり。

キービジュアルからアイドルアニメ要素を期待して観に行くと戸惑う人もいるとは思います。

個人的には近年アイドルアニメの優しい世界ではありえない容赦のない描写に

『人間模様を描いた出来のいい邦画を観た時』に感じる「いい意味で画面から目を逸らしたくなる」

感覚を覚えて、

まさかアイドルアニメ映画でこんな感覚を味わうことになるとは思わなかったので大変新鮮でした。

それでいて最後は前向きな気持ちになれるので、まるで大傑作邦画『何者』の鑑賞後感のよう。

トラペジウムのレビューなので詳しくは触れませんが、『何者』はトラペジウムが刺さった人なら刺さると思います。

舞台は芸能界・アイドルながら普遍的なメッセージ

自分が凡人であることを理解しつつ夢のために手段を選ばず、

その過程で軋轢を生みながらも、周囲の理解から自己肯定感を取り戻していく過程など、

フォーマットがアイドルでなくても成り立つ映画なんですよね。

大傑作邦画『何者』が就活が舞台でなくても成り立つ内容であるように。

ただ映像的なカタルシス、東ゆうの動機付けを強めると言う点でアイドルと言う要素を選んだのはすごく効果的に機能していると思います。

トラペジウムのネタバレあり感想

東ゆうと言うキャラクター

何と言っても東ゆうのキャラ、造形のバランスがすごくいい。

オーディションに全部落ちたことで自分のスペックが高くないことを理解しつつ、

それでも諦めきれない夢に向けて綿密(?)な計画を練って実現する行動力。

ちゃんとしたメイクをすると化けるルックス。

アニメ作品ながらこのルックスの変化は結構意識的に描かれていたと思います。

周囲を省みないところがありつつも、完全に自分本位な人間ではなく反省もできるし、ボランティア参加時や文化祭のくだりで最低限の空気は読めるところを見せていましたね。

文化祭のくだりはコドモオオトカゲのライブ参加を強行するのではないかと初回鑑賞時はちょっと不安になりました。

余談ですが、コドモドラゴンと言うバンドが実在する

画面にチラっと映るだけですが、くるみを籠絡するためだけにちゃんとC言語と機械工作の予習をするのもアイドルに対する本気度・マジメさがさり気なく伺えてすごくいい演出だと思いました。

トラペジウム=東ゆうと言っても過言ではないので、

彼女を受け入れられるか、感情移入できるかどうかがこの映画の評価の分かれ目だと思います。

10代でここまで自分の間違いを全面的に認められる人間なんてそうはいないと思うのですが、そこはまぁ短時間で終わらせないと映画として成立しなくなってしまうので…。

ゆう自身も覚えていなかった過去の善行が結果的に亀井美嘉との縁をつなぎ、少し自尊心を取り戻すことにも繋がっていくと言う善因善果と言うか因果応報と言うか、

ある種寓話的なプロットも素直に感動できました。

普遍的ながら意外にないメッセージ

「良いところも悪いところもあるのが人間なんだからいいところを伸ばしていこう」と言う、

すごく平凡ながらストレートにこう言うメッセージを伝えてくる作品も意外と観ないので、凝った映像表現に対してこの素朴さがすごくいいですね。

「そう言うところも、そうじゃないところもあるよ、ゆうには」

完全に余談ですが、個人的に平成アニメ・ゲームの残り香を強く感じるキャラデザが親しみやすかったのも○。

  • 東ゆう→戦姫絶唱シンフォギアGXのガリィ・トゥーマーン(狂気表情差分含む)
  • 大河くるみ→ラブライブ!の南ことり
  • 華鳥蘭子→FF7のエアリス
  • 亀井美嘉→『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の新垣あやせ

シンジくんがいいヤツ

2回観て思いましたが、工藤真司くんはゆうのことが好きだったんじゃないかな。

「女子高生の制服が好き」とか最悪にキモい言い訳をしてたけど、初めて会った時にガン見してたのは一目惚れだった気がします。

文化祭の『10年後の私』を隠し撮りする時も完全にゆうにフォーカスが合ってるんですよね。

『最後のデート』の時の「会えなくて寂しくなる」も本心からの言葉だけど、

アイドルを目指す彼女にとって男女交際なんてあってはならないことだから心の内に秘めて身を引いた、と言うように解釈しました。

原作は未読なのでこの考察は的外れな可能性もありますが、

少なくとも映画を観た限りではそのように受けとったので「奥ゆかしくていい男だなー」と感心しました。

気になった点もなくはない

このレビューを描いていて思ったのですが、

ゆうがアイドルを目指すモチベーションが作品中でハッキリと分かる形で描かれていないのでそこでノレない人は結構いそうだな、と思いました。

OP曲が流れている時の映像で幼少期の東ゆうがテレビでアイドルを観ている様子が出てくるくらいですかね。

ただしこれに関しても映されるアイドルがすごく『成長した東ゆう』っぽいし、

服装もEDのインタビュー時とほぼ同じ

暗い部屋で子供一人がテレビを占拠していると言うのも現実味がないのでイメージ映像かもしれません。

冒頭の心音は『初めてアイドルを見た時に感じた胸の高鳴り・鼓動』かと思いましたが、よく見るとステージ上からの景色っぽいので以下のどちらかでしょうか。

  • 女子高生東ゆうがヘッドフォンをしながら妄想している景色
  • 8年後、トップアイドルになった東ゆうがステージで見た景色→そこから時系列を遡って高校時代への回想に入っていく

いずれにせよ、もう少しゆうが初めてアイドルを見た時の描写を入れても良かったかな。

ついでに言うと最後の最後に完成する楽曲が正直劇中の他の楽曲(東西南北以外の曲含む)にメロディーのキャッチーさで完全に負けている(と思う)と言うのもちょっと気になりました。

方位自身は劇場で何回も観ているうちに好きになってきました。スルメ曲?

もう1点、シンジくんのセリフ「くるみちゃんの写真、『いいね』が2,000くらい付いてたね」は明確に説明不足かなと思いました。

原作ではくるみの写真をアップする専用のアカウントを作ったことが分かるものの、映画版だけだとどんなアカウント運用をしているのかがわからない。

以上のように気になる点もなくはないものの、加点方式で行けばものすごく高得点を叩き出している作品なので問題なし。

各種レビューサイトの平均点は低めと言うか平均的ですが、結構この手の賛否が分かれる映画の方が心に残る作品が多い、と言う人もいるのではないでしょうか。

逆に全くダメだった、と言うこともあるでしょうけど。

https://www.youtube.com/watch?v=IyPTkl6opBo

こんな素敵な映画ないよ!!

その他細かい好きな描写

  • テネリタスキック

「何が優しさだよ!!」

この時ゆうの口元は動いていないので、クソデカ声量ながら内心の声っぽい。

足は出しても口には出さない理性がある。

同人ゲームでトラペジウムの格ゲーが出たら東ゆうの強キックモーションはテネリタスキックで決定ですね。

  • ゆうの首筋を抑える癖

緊張を抑えるためと解釈していますが、添える指の数によって緊張具合が上がっていく気がする。

デビューライブ前は親指以外の4本に対し、ババハウスで美嘉に話を聞こうとするシーンは3本(確か)。

美嘉のウェイトはゆうの中で結構デカかった…!

  • シンジがゆうにLINEのQRコードを差し出すシーンのバック

くるみによるコントロールを失ったロボットがいい感じのタイミングで沈んでいく。

ただの画面の賑やかしな気もしますが、深読みするならシンジが完全にゆうの魅力に惹かれていると言う描写?

  • シンジから最初のLINEが来て顔をスマホに傾けるゆうの前髪

時間差で前髪がサラリと流れるきめ細かな演出に実在感がある。

  • プールでプログラミングをするくるみのタイピング音

好きな描写と言うより、劇中で一番映画館の音響の差が出るSEなのでベンチマークとして機能します。

チネチッタのLIVE ZOUNDではハッキリ聞き取れましたが、それ以外の映画館だと注意深く聴いていないと聞き逃すレベル。

  • 喫茶店BoNに置いてある星座が書いてある丸い壺みたいなやつ

調べたところ『ルーレット式おみくじ器』と言うものらしく。

画面で名前が視認できる星座のうち、一番左にはうお座が表示されていて、東西南北の中ではくるみがうお座に該当します。

西の星=左。

くるみの写真が欲しいとシンジに頼んでいる場面でこれが映されるのは意図的な演出な気がします。

意味なく漠然と映っているものがほとんどないような映画なので。

  • ハイキング

「南さんと2人ってすっごく不安だし」

「誰がここまで面倒見てあげたと思ってるの!」

の蘭子とくるみのやりとりの後、ゆうが笑うとその場の全員が嬉しそうに笑うところ。

ゆうの内心はともかくとして、他のメンバーはゆうが本当に好きなんだな、と分かるいいシーン。

  • 学園祭でサチと会うところ

「くるみちゃーん!」とサチが叫んだあと、他のメンバーがサチに向けて走り出す一瞬の間はゆうも嬉しそうな顔をしてるんですよね。

メンバーが走り出した後は戸惑いの表情に変わるけど、この段階からゆうはサチのことが嫌いじゃなさそう。

  • 信号機演出

東西南北の行く末の暗喩として信号の赤・青が多用されています。

  • 街灯・天井照明演出

展望が見えた、と言う時に差し込まれる照明演出。

初ライブのあとは暗めの照明なのは「ライブの瞬間こそがピークだったんだよ」と言う行く末を示唆しているような。

古賀さんに相談してプロダクションを決めるくだりも劇伴なしだし、先行きが明るい感じはしないですね。

  • バッグ演出

例のベンチで古賀さんから『めちゃ×2フライデー』への出演を促された時、くるみのバックパックだけが後ろに倒れています。

彼女がアイドル活動に乗り気でない描写は本人の表情からも明らかですが、バッグでもそれとなくアピール。

一方でラストではバッグが4つとも寄り添う。

  • 生卵

デビュー曲へ向けて練習中のゆうの部屋のコップに入っている黄色の物体。

どうにも生卵の黄身に見えるのですが、もしそうなら体作りがストイックすぎる。

  • 電車演出

電車はアイドルへと続く道への暗喩。

終盤、駅のホームで古賀さんの「ありがとうな」で『完全にアイドルへの道が閉ざされた』と実感したゆうは電車を見送る。

  • 駅のホームの『上SW』

ゆうが古賀さんとの電話の前に「これから…」と呟くあたりで出てくるオブジェ。

普通に考えたら『上スイッチ』なんですが、上=北、S=南、W=西と言うことで

どうしても『東がない文字列』として見えますね。

  • フェス

ゆうの部屋のカレンダーは2月。

スタッフはダウンコートを着ている中、あの薄手の衣装でゆうはともかく他のメンバーも寒そうな素振り一つ見せないのはさすが。

「アイドルに対する覚悟の違い」描写として、くるみあたりが縮こまっていても良さそうなものですが。

  • 電車の『ワンマン列車~』の中吊り広告

「南さんさぁ、苦手って思うんだったら練習すればいいじゃん」からの『ワンマン』。

  • ewsn_03_2.mp3

方位自身のデモバージョンのファイル名。

うろ覚えですが、03_2は間違いないかと

東西南北の3月リリース予定の曲の試作バージョン2ってところかな?

ちょっとシン・ウルトラマンのmessage from mefilas.mp3を思い出しました。

  • 学校に行かないゆうの部屋にある大皿、シーンが変わると今度は巨大な丼ぶり

目は完全に死んでるのに結構食ってる。

  • 非常口

非常口ですね。

  • 黒板消しの超作画

終盤付近、背景や翁琉城、伊丹さんの作画がやけにリアルになりますが、

黒板消しやゆうママが洗い物をするシーンの水道水などが分かりやすいです。

今まで見えていなかったものが見える=アイドルと言う夢から覚めて現実に返ったと言う解釈が主流なようですね。

  • LINEのアイコン

シンジくんは星空、蘭子はお蝶夫人、くるみは自撮り、そして美嘉は男女のデフォルメキャラのアイコン。

この時点で彼氏の匂わせは発生していた。

  • ゆうのスマホのアルバムにある『ごはん』

『東西南北』の次に出てくるくらいにはごはんが好きなんだな…。

アルバム名は分からないけど、夜空がサムネになっているアルバムがあるのはシンジくんの影響でしょうか。

人目につかないところで憎めない部分があるから西南からも好かれてたんじゃないかな。

北は説明不要

  • 美嘉とサチが同じイヤホンで『なりたいじぶん』を聴いているシーン

ゆうのファン1号と2号がゆうの歌を聴いている感動のシーン。

ファン2号はシンジくん説もあり。

  • オリオン座のトラペジウム

画像検索で出てくるものと劇中では結構見た目が違いますが、真ん中の4つが明るく輝いて見える星団・トラペジウムが繰り返し描写されます。

東西南北が最後の最後に『方位自身』を歌ったあと映る空にはもうトラペジウムがない。

夕暮れだから視認できないのかも知れないけど、それを含めて演出かなと思いました。

  • EDの「なんか美化できたりね」のくだり

美嘉が持ち寄った歌詞ですが、EDでゆうの激昂シーンが映像に被ってくるので「これを美化するのはムリだろ…」と思ってしまう。

「ありがとう 過去に手振るよ」で締められているので、解釈としてはいじめられていた過去を『私のヒーロー』ゆうのおかげで美化できた、と取る方が妥当?

でも「夕暮れ そっと涙抑えた日々も」の歌詞から考えると彼氏との交際が発覚した下りが連想されるんですが、

ゆうがベッドに倒れ込むシーンとその後の町並みが夕方

あれが『思い出とか勲章とか言ってなんか美化できたりね』と考えられるなら立ち直り方が強すぎてこっちまで元気が出てきます。

メンタルはだしのゲンか?

どう考えても美嘉は作中で一番悲惨な目にあってるし、

アイドルデビュー後のクラスメートのあたりも恐らくゆうより遥かにキツかったと思うので、鑑賞するごとに憐憫の情と親しみが湧いてくるキャラです。

『アニメ映画 トラペジウム』を読んで補完できたこと

角川つばさ文庫から出ている映画版を元にラノベ化された小説が『アニメ映画 トラペジウム』です。

アニメ映画 トラペジウム

基本的に映画とほぼ同じプロット。

文章は子供向けとは言えやや雑で、なんかちょっと引っかかる造語っぽい日本語もありますが、

心理描写が足されていたり、映画だと聞き取りづらかったセリフなどが分かるので買って損はなし。

以下のセリフは自分には聞き取れなかったので助かりました。

  • くるみが楽屋で暴れるシーン
  • その後の激昂するゆうに美嘉が言うセリフ

美嘉のセリフは「じ、地獄の…」から始まるように聞こえたんですが、

いくらアイドルお化けのゆう相手とは言え地獄には例えないだろう、と思ってたので小説版で文字起こしされててセリフが分かってスッキリしました。

AC6の『歩く地獄』ミシガン総長じゃないんだから。

映画版のこのパートはけろりら先生作画なので、美嘉に「今の東ちゃんは変だよ…怖いよ」と言われたあとポカンとしているゆうの表情が妙にマスコット的な可愛さ。

シリアスなシーンなのに2回目以降の鑑賞では毎回和んでしまいます。

  • 冒頭のゆうが首筋に手を当てるシーンの真意

恐らく緊張を抑えるために首筋に手を当てる癖のあるゆう。

冒頭のシーンは聖南テネリタスにこれから赴くことに対する緊張としてはちょっと抑えるのが早くない?と思ったのですが、アニメ映画 トラペジウムで補完できた。

  • ゆうが久々の登校後に「なんで、あんなこと…」と言った時の心情

個人的にはクラスメートに強気に出たことではなく、それより前に東西南北のメンバーにキツくあたったことを時間差で後悔しているのか?と思いましたが、こちらも小説家版で明らかにされます。

ゆうにとってアイドル活動以外のこと、クラスメートとの人間関係はそこまで重要ではないと推測したのですが。

アニメ映画 トラペジウム

原作版と映画版の違い

小説 トラペジウム

高山一実さんの原作版も読みました。

とりあえず文章が上手いことにまず驚き。

高山一実さんは読書が趣味とのことですが、それにしてもそれなりに文字を描くことに慣れていないとこの文章は書けないと思います。

セリフが多く、場面説明はわりとアッサリしているので好みは分かれると思いますが読みやすいのは間違いないかと。

2時間くらいで読み終えることができました。

  • アイドルになる前のエピソードにかなりウェイトが置かれている

原作版と映画版との一番大きな違い。

原作版はボランティア活動にかなりの尺が割かれています。

そして東西南北(仮)としてのアイドル活動は映画を観たあとだとビックリするくらいアッサリしていました。

そもそも劇中で東西南北(仮)の曲は『方位自身』の1曲しか出てこない。

映像化にあたってはアイドルパートを増やした方がいいと言う判断だと思いますが、英断だったと思います。

原作版はゆうの内面の描写と成長がメインですが、それぞれに違った良さがある。(月並み)

ただしアイドルパートを端折ったせいで、くるみのメンタルがやられるのが結構早く感じました。

カメラが回っている時のくるみの心情吐露は原作版の方が強烈。

  • 全体的に映画版よりも時間軸が後ろにズレている

東西南北の初イベント、ババハウスの登山のタイミングが春休み中。

進級後にアイドル活動が始まるので、くるみと蘭子の受験生設定がわりと差し迫ったものになる。

映画版の登山は7月設定ですが、くるみと蘭子がかなり厚着だったのはこの設定の名残でしょうか。

  • 映画に出てこないクラスメートや同級生が出てくる

それぞれ1回ずつだけの登場でしたが、ゆうが学校生活を無難にこなしていることが分かります。

  • ゆうの地毛が茶色いと言う設定

原作版のゆうは地毛が茶色いので「憧れのアイドルっぽく」するためにあえて黒染めしているとのこと。

映画版でも美嘉の黒髪に比べるとゆうの方が茶色っぽいので、地毛が茶色設定が映画版にも輸入されていると言う考えもあるようです。

個人的には「他人と見比べて明らかに茶色いと思うような色をアイドル狂のゆうが放置するか?」と思ったので、

単なる作画・キャラデザの差異ではないかなと思いました。

  • ゆう以外のメンバーも結構癖がある

原作の蘭子と美嘉は映画版よりやや尖ったキャラクターになっています。

原作ではゆうVS蘭子のテニスがかなり接戦に持ち込まれており、ゆうにテニスの素質があるのか原作蘭子が弱すぎるのか

特に美嘉はゆうへの感情がさらにねじれている他、くるみに対しても強烈な羨望を持っていたり。

映画では2人とも原作版よりは和を重んじるキャラクターになっていますが、これはゆうのキャラクターを際立たせるためかな。

とは言え原作版でもゆうの強烈なキャラクターは全く埋もれていない、どころか映画版以上にアイドルへの執着が伺えます。

オーディションでの完璧な受け答えなんかはちょっと畏怖の念を覚えるくらいで必見。

  • 方位自身の歌詞が違う

映画版では「問題 解探し」とか「笑みを乞う」とか、ちょっと語感が悪い上に日本語としても微妙な歌詞が気になったんですが、

原作版では自然な日本語が使われていました。

もちろん高山一実さんの文章力を考えれば納得ではありますが。

それぞれが歌詞を持ち寄ると言うのも映画オリジナルなので、おそらくあえて女子高生らしさの残る歌詞にアレンジしたんじゃないかと思います。

  • 原作版はシンジくんの存在が結構大きい

映画でも原作でもシンジくんいいヤツすぎる。

そして原作のゆうはかなりシンジを憎からず思ってるし、シンジくんは言わずもがな。

おそらく映画化にあたって、あまりシンジくんにスポットを当てるとテーマがブレると判断されて出番が削られたのだと思いますが、

映画を観てシンジくんに好感を持った人には特に原作版を読むことをオススメします。

ただ、原作ではシンジくんは高専5年という設定なんですよね。

仮に原作設定のまま映像化すると最低でも20歳が高校1年生に鼻を膨らませる絵面はヤバすぎるので、映画版で大河くるみと同年齢に設定されたのは制作陣のファインプレーと言うべきか。

  • 個人的には原作の設定と映画が地続きとは考えない

シンジくんの年齢から異なりますが、

映画版は全体的にあくまでゆう中心のチューンナップ。

美嘉がくるみを知っていたことも映画版では恐らくオミットされ、

「私のヒーロー」がより際立つようになっているんじゃないかな、と思います。

ただし映画版でくるみの「くるみ本屋さん行きたいなー」の後のシーンで画面右側のベンチに美嘉っぽい女性がいたりするので、美嘉がくるみを知っていた設定は生きているのかな、とも思いましたが、

ほぼ映画準拠のノベライズ『アニメ映画 トラペジウム』では美嘉→くるみの視点は特に描かれていないのでやはりここは削られているのかなと思いました。

シンジくんのゆうに対する好意は共通だと思っていますが、原作版の方がより強い気がする。

何なら原作版ではゆうとシンジくんは結婚・電撃引退して「どんなに情熱的なプロポーズをされても」「大切な人ができれば分かるよ」の伏線回収をしたんじゃないかと思ってる

小説 トラペジウム

パンフレットを見て

かなり久しぶりに映画のパンフレットを買いました。

  • ゆうの舌打ちは渾身の演技

ゆうの声優、結川あさきさん曰く「舌打ちは可愛い感じではなくリアルに」とのこと。

普通のアニメだったらオノマトペっぽく「ちっ」と発音するところをガチの舌打ちでしたからね。

  • 高山一実さん曰く「ゆうの所属するグループの人数や構成は想像にお任せ」

映画内でチラっと映るポスターでは5人組でしたが、試写を観る前のインタビューなのかな?

5人組なのにゆうっぽい画像は左から2番目でセンターじゃないんですよね。

原作では「国民的アイドルグループのリーダー」と表記されていますが、

近年のアイドルグループみたいに曲によってセンターが代わるシステムなのかも。

新海誠監督も絶賛?

このあたりを通るたびに、映画『トラペジウム』を思い出します。すてきな作品でした! pic.twitter.com/zRTfrn4eAs

— 新海誠 (@shinkaimakoto) July 13, 2024

このあたりを通るたびに、映画『トラペジウム』を思い出します。すてきな作品でした! pic.twitter.com/zRTfrn4eAs

— 新海誠 (@shinkaimakoto) July 13, 2024

Xであの新海誠監督がトラペジウムについて「すてきな作品でした!」と言及していました。

こんな素敵な作品ないよ!

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